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【高気圧酸素】荏原病院・脳神経外科(東京・大田区)

荏原病院脳神経外科の土居浩部長(提供写真)

 減圧症とは「潜水病」「潜函病」とも呼ばれ、水中深くから浮かび上がる際に発症する。急激に減圧すると、高圧下で血液中や組織内に溶けていた窒素が血液中に気泡を作り、さまざまな症状を引き起こす。軽症では筋肉や関節の痛み、疲労感がある。重症になると脳卒中に似た症状や呼吸困難、胸痛が表れるという。

 空気塞栓症は、動脈中にできた気泡によって血流が妨げられて起こる。脳動脈や冠動脈に起これば脳梗塞や心筋梗塞と同じ状態になる。ダイバーの死亡原因で多い病気だ。

 高気圧酸素治療は血流の届かない組織へ酸素を送り、気泡を圧縮して体外へ排出させる。

「減圧症や空気塞栓症は、スキューバダイビングだけでなく、地下トンネルのシールド工事や橋の土台をつくる潜函作業などでも起こります。当科は、建設現場の患者さんの受け入れも多い。工事が始まるときはゼネコンなどから問い合わせがあります」

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