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【高度難聴の人工内耳手術】 虎の門病院・耳鼻咽喉科聴覚センター(東京・港区)

虎の門病院耳鼻咽喉科聴覚センターの熊川孝三部長(C)日刊ゲンダイ

 しかし、人工内耳の適応は両耳とも90デシベル以上の高度難聴に限られる。患者の中には高音は聞こえないが、低音なら90デシベル以内でも聞こえるタイプの高度難聴もいて、これまで有効な治療法がなかった。それが昨年7月、そうしたタイプの高度難聴に「残存聴力活用型人工内耳(EAS)」が保険適用になった。同科は5年前から先進医療としてEAS治療が認められた5施設のうちのひとつだ。

「EASは、低音域は補聴器で、高音域は人工内耳で聞き取るハイブリッド型人工内耳です。低音域が残る人でも、補聴器をつけて言葉の聴力が60%未満であれば適応になります。より早い段階から人工内耳を使えるようになりました」

 昨年、同科が行った人工内耳手術は40症例、そのうち約2割はEASの手術が占めている。これらの最先端の人工聴覚治療を最大限に生かせるのも、高度難聴ではほとんどのケースで同時に遺伝子診断を行っているからだ。熊川部長は臨床遺伝専門医でもある。

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