有名病院 この診療科のイチ押し治療

【多剤耐性結核治療】 複十字病院・呼吸器外科(東京・清瀬市)

(提供写真)

 通常、内科治療で大半は治るが、中には薬の効きが悪い症例がある。最も強力な主要2剤の抗結核薬に耐性をもつ多剤耐性結核だ。多剤耐性率は初回治療患者の3・9%と推定され、第2選択肢の薬も効かない場合は超多剤耐性と呼ぶ。

「当センターの初回受診者の9割以上は紹介患者さんで、東日本で多剤耐性と診断されれば、だいたい当院へ送られてきます。その場合でも内科治療からはじめます。新たな薬剤耐性をつくらないように可能な限り多くの薬剤を組み合わせた多剤併用療法を3カ月ほど行い、その時点で手術の必要性を判断します」

 外科治療は内科治療の効果を高める目的で行う。結核菌に侵された肺を部分的に切除する手術の適応は主に2つ。多剤併用療法をしても排菌が持続する場合と、排菌は停止したが再発する危険性が高い場合だ。全国で実施される多剤耐性結核に対する手術の70~80%を同院が占め、治療成功率は98%という。

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