サラリーマンのパワーup 食で不調を撃退する

アルコールで記憶力低下

 S氏から、「このごろ記憶力が著しく低下している」との相談です。

 S氏のビジネスシーンを聞いてみると、毎日、接待や飲み会が続いて飲酒量が多く、休肝日はなし。「お酒を飲んで記憶が飛ぶことはない?」と質問をすると、「たくさん飲んだときはそうなります」という返事でした。

 アルコールで記憶が飛ぶのは、アルコールによってビタミンB1、B6、B12、葉酸などビタミンB群が破壊されたり、代謝経路が阻害されたりするから。

 中でもビタミンB1の破壊は、深刻なダメージをもたらします。まず、記憶をつかさどる脳のウェルニッケ野が障害を受け、他人の言語を理解する働きになんらかのトラブルが生じることが、1874年に発見されています。

 次に、ストレスへの抵抗力が弱まります。アルコール摂取自体が体へのストレスになりますから、まさにダブルパンチです。

 対策として一番大切なのは、当然ながら減酒です。加えて、ビタミンB1不足を避けるために、お酒を飲む時は、“ビタミンB1リッチ食材”を意識して取りましょう。
“ビタミンB1リッチ食材”は、何といっても豚肉です。お酒を飲む日は前もってランチで豚肉のしょうが焼きを。そしておつまみには、焼き豚や生ハムなどはいかが? 

 また、ビタミンB1は、たらこやうなぎにも多く含まれています。ビタミンB1は疲労回復にも役立つ栄養素ですから、「お酒は飲まないけど、とても疲れた」という日にもおすすめです。

 ただし、ビタミンB1のみが添加されているドリンク剤には注意。ビタミンB群は、8種類の仲間がチームで働くため、単体での摂取はあまり意味がないのです。

 アルコールの害を少しでも減らす食材を選ぶことが、明日へのエネルギーにつながります。

佐藤智春

佐藤智春

スタイリストとして活躍していた32歳の時、働き過ぎで体調を崩しダウン。「分子整合栄養医学」に出会い、人体と栄養の関係を学び、実践を重ねながら健康を取し、血液栄養診断士の資格を取得。現在はクライアントの血液データから栄養を厳密に把握し、食と医療、ライフスタイルを具体的に提案。著書に「卵を食べれば全部よくなる」「男は食事で出世させなさい」「身長を伸ばす7つの法則」など。