長崎県の島原半島の南部に位置する南島原市。そこでは40年以上も前から「めし泥棒」なる、なめ味噌が伝統食として愛され続けている。
めし泥棒とは、麦と大豆を主原料にし、昆布やしょうがなどを加え、数カ月間熟成させた発酵食品。
金山寺味噌などのなめ味噌同様、味噌汁などに使うのではなく、ごはんのお供として食べられている。長崎県出身の岩崎紀明さんは、故郷の味として、今でもめし泥棒が忘れられないという。
「九州地方独特の甘めの味噌にしょうがの辛さが加わり、ピリッとした風味に仕上がっています。これがあれば、ごはんは何杯でもいけますよ」
ちなみにめし泥棒とは「あまりのおいしさに食欲が止まらず、隣の家のめしまで取ってきて食べてしまう」ことから名付けられたという。
めし泥棒のような発酵食品は健康面でもメリットを与えてくれる。
腸内には、大きく分けて善玉菌と悪玉菌がすんでいる。善玉菌が優位なら問題はないが、悪玉菌が大勢を占めると免疫力が低下し、生活習慣病などを招きやすくなる。もし、便臭がきつければ、腸内は悪玉菌が支配している可能性が高い。
しかし、発酵食品は善玉菌を増やすなど、腸内環境の改善に非常に役立つ。免疫力を高めて、病気に負けない体をつくってくれるのだ。
めし泥棒を食べて腸内環境が少しずつ良くなっていけば、ごはんだけでなく、病気も盗んでくれるかもしれない。
真似したい伝承療法