実際、約7万人の患者が対象となった世界最大の「REACH研究」報告では、末梢動脈疾患の患者の50%に冠動脈疾患が、25%に脳血管疾患が認められています。しかも、患者の60%がいくつもの血管と臓器の病気を抱えていたのです。
恐ろしいことに重症の末梢動脈疾患の人の5年間の死亡率は3割と報告されています。仮に足全体(下肢)の症状が軽くても、その後の経過(予後)は決して良くありません。これは、下肢の症状の悪化のみでなく、冠動脈や脳血管疾患による死亡率が非常に高いためです。
足の動脈だけでなく、腕、腎臓、上腸間膜動脈などにも動脈硬化は起こります。腕の動脈の硬化はまれですが、手の痺れや脱力がみられます。上腸間膜動脈が徐々に詰まってくると食後にお腹が痛くなり、食欲が落ちて体重も減ってきます。腎動脈が徐々に詰まると腎血管性高血圧症や腎不全になります。
しなやかな血管が命を守る