しなやかな血管が命を守る

【抹消動脈疾患】 突然の手足の痛みと冷感でパニックに

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(C)日刊ゲンダイ

 動脈硬化が進み、動脈が徐々に狭窄していく場合は、急に強い症状は出ません。しかし、これらの血管が突然詰まると、激痛、冷感、痺れや麻痺が生じます。これは、動脈硬化で狭くなっているところに血栓という血の塊ができ、ほぼ完全に血流が途絶えるためです。

 腕、下肢や腹部の動脈の急性閉塞では、それぞれの場所の体の組織が死んでしまうので、緊急手術が必要です。腎動脈が詰まり腎梗塞が起こると、痛み、血尿や腎不全がみられます。

 このように放置すると本当に恐ろしい病気ですが、今は、腕と足の血圧の比である足関節上腕血圧比(ABI)、血管の超音波検査、MRI血管検査、造影CT検査などで早めに診断できます。

 70歳以上か生活習慣病や喫煙などリスクのある方は、循環器ドックなどで全身の血管をチェックしてもらうことをお勧めします。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。