耳鼻科の病気

鼻血の原因は一つ、二つじゃない

 脳梗塞や心筋梗塞の治療薬であるワーファリンやバファリンなどの“血をサラサラにする薬”が、原因になることもあります。薬の性質上、血が止まりにくくなってしまう場合があるのです。老人の方の内服が多いので、見逃すことがないように治療していきます。

 他には血液自体の病気である血小板の減少や、白血病、血友病、遺伝的な血管の病気が原因となることもあります。

 よく「鼻出血は脳出血の症状のひとつでしょうか」という質問を受けるのですが、脳からの出血が鼻に出てくることはなく、経験上も一例もありません(脳梗塞等の治療として抗凝固作用の薬を服用している方は、鼻出血だけでなく脳出血も止まりにくくなります)。

 耳鼻咽喉科の専門医は、既往歴を含め、出血部位や出血状態を見て、単純な出血か否かを判断しながら診断していきます。

 私自身の経験として、鼻出血とのことで他の大病院から紹介されたものの、実は食道の静脈瘤からの出血というケースもありました。

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大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。