医療数字のカラクリ

あてにならない「余命宣告」

 上記のような状況を考慮して、臨床の現場では平均余命を平均値や中央値をもって説明するというやり方は、すでになされない方向にあります。あてにならない数字にとらわれるよりは、残された時間が限られていることを家族や医療者と共有し、その日その日をよりよく生きていくことが一番ではないでしょうか。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。