家計簿を見れば病気がわかる

牛肉消費が多い関西 鶏肉は九州と中国

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 肉には、筋肉や骨を作るのに必要なアミノ酸や、体調を整えるビタミン類が豊富です。肌を健康に保ち、免疫力を高め、ストレス耐性を高めるなど、さまざまな健康効果が報告されています。そのため、「(食の細い)高齢者こそ肉を食べた方がいい」という意見もあります。果たして、どの県民がどれくらい肉を食べているのでしょうか。

 家計調査には、牛・豚・鶏などの「生鮮肉」と、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの「加工肉」の購入量が記載されています。生鮮肉の購入金額と購入量の上位10県、下位10県を表にしました。

 金額的には和歌山が1番ですが、量で見ると、福岡県民が最も肉を食べています。最下位は群馬県民で、福岡県民のわずか6割しか食べていません。

 全体的に見て、生鮮肉の消費は西日本で多く、関東や東北では少ない傾向にあります。また京都や大阪は、金額では上位ですが、量ではベスト10にすら入っていません。それだけ単価の高い肉を食べているのでしょう。

 肉の種類別に見ると、別の風景も見えてきます。まず牛肉。消費の中心は関西です。金額ベースで京都、和歌山、滋賀、奈良、大阪、兵庫の順。量ベースでは和歌山、京都、大阪、奈良、大分、広島でした。

 しかし、豚肉は東日本で、金額は神奈川、山梨、埼玉、新潟、静岡の順。量では北海道、青森、新潟、静岡、神奈川と続きます。また、鶏肉は九州や中国地方が本場。金額で福岡、鹿児島、兵庫、滋賀、熊本の順。量で福岡、熊本、広島、大分、鹿児島となっています。

 加工肉は1位が青森(約12キログラム)、最下位が高知(約8キログラム)。これといった傾向は見られませんが、あえて言えば、寒い地方の県のほうが多く消費しています。

 他には、京都がハムの購入金額で1位なのに、量では7位というのが少し目に留まります。また、ベーコンに関しては沖縄が1位、北海道が2位など、なぜか南と北の県の購入量が多くなっています。

 こうした都道府県の消費性向の違いは、健康や病気にどのような影響を与えているのでしょうか。次回はこの問題に迫ってみましょう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。