一方の機械弁は、耐久性が高く頑丈なので、弁を再交換するケースはほとんどありません。しかし、機械弁は人間にとって“異物”なので弁の周辺に血栓ができやすく、術後は血を固まりにくくする薬を一生飲み続けなければなりません。また、人工物は予期せぬことで壊れてしまう可能性もあります。
どちらもメリットとデメリットがあり、患者さんのバックグラウンドによっても変わってくるため、一概にどちらが望ましいとはいえません。当院でも、生体弁と機械弁の割合は、おおむね半々ぐらいです。
ただ最近は、ある一定以上のサイズ(21ミリ)の弁を入れられる患者さんには、生体弁を勧めるケースが多くなっています。将来的に弁が劣化しても、「TAVI」(経カテーテル大動脈弁留置術)という血管内治療によって、新たな生体弁を留置する治療法が登場したからです。
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