病院は本日も大騒ぎ

強制退院を告げる際の常套句「入院申込書に明記してます」

 首都圏の総合病院で、看護師長を務めている看護師歴十数年のサトミです。今回は、入院患者の強制退院についてお話ししましょう。

 入院するとき、患者さんは「入院申込書」「診察券」「健康保険証」「印艦」等が必要です。このとき、入院申込書に署名、押印をしてもらいますが、その1項目に、「医師、看護師の指示に従わない患者さんは強制退院もあります」と、明示してあります。お気づきの方は少ないかもしれません。

 入院患者さんには、会社社長、サラリーマン、失業者、警察官から暴力団関係者までいらっしゃいます。入院しなければ決して交わることのなかった人たちと寝起きを共にするのですから、トラブルは当たり前です。

 4人相部屋、6人相部屋では、たいていベッドの隣同士でケンカを始めます。原因は、「テレビの音がうるさい!」とか、「いびきがうるさくて眠れない!」「新聞をめくる音が気になる!」など。注意程度の口ゲンカならいいのですが、そのうち、暴言を吐き、足でベッドを蹴飛ばすなんて行為にエスカレートすることも。

 まあ、反りが合わないというか、気に食わない人というのはどこにでもいるものです。それ自体は仕方がないことなのですが、問題はここが病院だということです。

 病気治療のために共同生活をしているのですから、病院の規律を守らない勝手な患者さんには強い態度で臨みます。最初は注意や警告ですが、最終的には「強制退院」ということになるのです。

 例えば、先にお話ししたケースなら、まず双方のベッドを窓側と、廊下側に離します。それでも顔を合わせるといがみあいになるようなら、部屋替えです。しかし、廊下やトイレで鉢合わせすると、お互いに腕をつかみあってケンカする人もいます。

 何度か注意し、警告しても聞き入れてくれない場合は、ご家族を招いて事情を説明し、強制退院をしていただきます。

 なかには、“治療中の病人を追い出すなんてひどい”と抗議される方もいます。しかし、トラブルを頻繁に起こす人を放置しておくと、何かの拍子に重大事故に発展しないとも限りません。

「入院申込書に明示してありますよ」

 この一言が最後の切り札になります。