大橋巨泉氏は“翌日復帰” 肺がんの「日帰り手術」は可能なの?

14日にがん摘出手術を受けていた大橋巨泉氏
14日にがん摘出手術を受けていた大橋巨泉氏(C)日刊ゲンダイ

 これほどがんとの闘いに勝ってきた人も珍しいだろう。タレントの大橋巨泉氏(81)が、今月14日にがんの摘出手術を受けていたのだ。05年6月に胃がんの摘出手術で、胃を半分切除。ところが13年11月に1回目の転移となる中咽頭がんが見つかり、4度目の転移となった今回は、左右の肺の間にある縦隔のリンパ節に2つのがんが見つかったという。

 すごいのは、今回の摘出手術が日帰りだったこと。しかも、翌15日にはテレ朝系「徹子の部屋」を収録して仕事復帰。その後も、「調子がいいときと悪いときがあり、ここ2週間は都内を中心に仕事をこなしている」と語っている。

 最近のがんの手術といえば、腹や胸を切り開くことなく、内視鏡で行われるケースが増加。そういう術式なら、肉体的負担が少ないが、それでも1週間程度、入院するのが一般的。日帰りなんて聞いたことがない。肺がんは、日帰り手術が可能なのか。

 肺がん治療の権威で、新座志木中央総合病院名誉院長の加藤治文氏は、「超レアケース」としながらもこう言う。

「縦隔のリンパ節は、上・中・下の3カ所に分かれます。巨泉さんの闘病歴をうかがうと、中咽頭がんがあちこちに転移しているようで、そうすると今回の転移は上部か中部の可能性が高い。その部分なら、腫瘍の摘出に必要な器具を出し入れする穴は1つで済むケースもある。穴の直径は4~5センチで、腕のいい外科医なら手術は1時間で終わります。日帰りは技術的に可能です。しかし、胸腔鏡による手術でも、手術中の出血などがあれば、開胸手術に切り替えるといったリスクがある。病院側が日帰りをアピールすることは、まずありません」

 80歳を越えてまで、日帰り手術しなければならないほど仕事に追われる生活がうれしいのかどうか悩むところだが、超短時間で治療が済む可能性があることは知っておいて損はない。

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