家計簿を見れば病気がわかる

肥満率上位の県は肉購入量が少ない

(C)日刊ゲンダイ

「肉は太る」というひとがいる半面、最近では、「肉を食べても太らない」という話も聞きます。ところがここに、ちょっと面白いデータがあります。毎年のメタボ健診の結果を、厚労省が都道府県ごとに集計したものです。これを見ると、年齢別・性別に、肥満の多い県、少ない県がわかってしまいます。

 メタボ健診の肥満関連の項目には、BMIと腹囲がありますが、腹囲が本当に肥満の程度を表すかどうかについては、いまだに賛否が分かれています。一方、BMIは世界的にも確立された指標なので、これを使いましょう。対象年齢・性別は、50代前半(50~54歳)の男性とします。

 日本人は、BMIが30を超えたあたりから、死亡率が上昇することがわかっています。ですからこの辺りが肥満の境界と考えるのが妥当です。

 さて、肥満率(BMI30以上の割合)を計算すると、全国平均は4.4%でした。つまり50代前半の男性のうち、約23人に1人が肥満ということになります。

 しかし、これを都道府県別に見ると、かなりの差がみられます。

 最大の肥満県は沖縄。肥満率は実に8・4%です。沖縄といえば、かつては健康長寿の代名詞のようにいわれていましたが、近年肥満率が高まり、とくに男性の平均寿命は全国30位に急落しています。沖縄に次いで肥満率が高いのが北海道の5.3%。千葉、東京と続きます。もっとも低いのは新潟県の3・1%でした。

 肥満率上位には、関東・関西・四国の県が名を連ねています。ところが、それらの県の肉購入量は必ずしも多くはありません。というよりも、むしろ全国平均よりも低い県のほうが多いのです。

 では、肥満の原因は何でしょうか。ひとつの可能性は、めん類やパンです。四国は香川県を中心に、うどんの消費が全国トップクラス。関西はパンの購入量が際立っています。また南関東は、東京や神奈川を中心にスパゲティなどパスタ系の消費が多いのが特徴です。

 そもそも日本人が食べる程度の肉の量では、そうそう肥満にはならないはず。断言はできませんが、日本人の肥満は、むしろうどん、パスタ、パンなどで取る炭水化物に原因があるのかもしれません。

長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。