医療数字のカラクリ

「肺がん」は1年半で90%死ぬ 「乳がん」は10%以上が10年以上生きる

(提供写真)

 この背景には、進行がんに対する治療の進歩がありますが、それだけでは説明がつきません。進行乳がんの一部の患者は極めて進行が遅く、10~20年では生死に関係ないようなものが一定の割合であると考えなければ説明が困難です。

 転移があるような最も進んだ段階の進行がんといっても、そのがんの種類によっても、さらには個別の患者の状況においても、大きく生存率が異なることがわかります。「進行がん」「遠隔転移」という大ざっぱな分類で、必ずしも絶望することはないのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。