右が詰まっていると思ったら、いつの間にかそれが解消され、左が詰まっている。こんな鼻づまりに悩まされている方はいらっしゃいませんか。
実はこれ、病気ではなく、「ネーザル・サイクル」(鼻周期)と呼ばれる生理現象です。
“鼻が詰まって苦しい”というなかには、このネーザル・サイクルにあわない方の鼻の穴で呼吸しようとしている場合があるのです。
そもそも鼻は、取り入れた空気を浄化する機能があります。鼻毛で大きなゴミをつかまえ、その後、鼻の粘膜や線毛などの働きで、鼻毛をすり抜けて入ってくる小さな異物、細菌、ウイルスを鼻の奥の咽頭側に持ちこみ、やがて体外に排除するのです。いわば空気清浄機の働きをします。鼻はさらに、取り入れた空気の圧を調節したり、加温や加湿し、浄化されたきれいな空気をうまく気管支から肺に流す、車のラジエーターのような機能もあります。
こうした機能を保つために鼻の穴(鼻腔)は鼻中隔で左右に分けられ、左右にはそれぞれ側壁から3つの骨が張り出しています。上から上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介です。
ちなみに、鏡を見ていて“鼻に大きなできものが見つかった”と来院する患者さんがおられますが、腫瘍ではなく、アレルギー性鼻炎などにより、腫れた下鼻甲介を指していることがほとんどです。
ネーザル・サイクルは左右の鼻甲介が交互に膨れたり縮んだりして、1~3時間ごとに左右の鼻が交互に詰まる現象です。
これは昔から研究されてきましたが、どうしてそうなるかはまだわかっていません。
ただし、一日中、同じ側の鼻が詰まっているとしたら、ほかに原因があると思って、ぜひ耳鼻科を受診してください。
ネーザル・サイクル以外の鼻づまりは、鼻腔内の極端な左右差を起こす鼻中隔湾曲症やアレルギー性鼻炎などで起こる下甲介粘膜の腫脹や肥厚性鼻炎などが考えられます。他に副鼻腔炎や腫瘍も原因となります。
常に鼻が詰まっているようだと、まずは薬での治療となりますが、頑固な場合は、状態を見て外科的な手術を含めた治療を考えてもいいかもしれません。
耳鼻科の病気