愉快な“病人”たち

プロゴルファー 田原紘さん (72) 一過性脳虚血発作 ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 30分くらい経った頃、救急隊員に名前を聞かれて答えたら、「プロ、声が出た!」と周囲の人が言う。この時、自分の声が届いていなかったことに気づきました。今度は手を動かすと、「あれ!? プロの顔が戻っていく!」と大声がした。自分がどういう状態か、なぜ人に囲まれているかを初めて理解しました。

 同時に、寝起きにろれつが回らず、救急車で病院に行き、そのまま寝たきりになった知人を思い出しました。帰宅後「救急車を呼んでくれ」と妻に言い、病院に運ばれて3時間後に亡くなった人も。「ひょっとして動かすことがよくないのかも」と考え、私は救急車を断り、その日は落ち着いてから帰宅しました。

 知り合いの医師に電話で指示を仰ぎ、2~3日後に近くの病院でMRIを撮ると、脳の太い血管の端に脳梗塞のあとがありました。その先の毛細血管には血が流れていて問題はなかった。毛細血管に血が回らなくなると脳が部分的に壊死するのですが、そこまでには至らず、治療は血液をサラサラにする薬を飲むだけで済みました。

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