独白 愉快な“病人”たち

タレント 稲川淳二さん (66) 前立腺がん ㊦

(C)日刊ゲンダイ

 食事が終わると、患者さん同士が連れ立ってみんなでニコニコしながら楽しそうに話している。会話を聞くと、一方的に話していることも多いけれど、お互いを受け入れてくれるから居心地がいいんですよね。

 医師もフレンドリーで、高飛車なところがなく、治療もわかりやすく説明してくれました。

 医療用ロボット“ダヴィンチ”による前立腺がん切除手術は、お腹に6カ所小さな傷穴が開くだけでしたから、とにかく元気。3日目には病院でステーキも出たくらい、食べ物の制限もないんです。これが通常の開腹手術なら、病人食が何日も続きますからね。食の苦痛がないのは何よりでした。

 入院中も楽しかったですよ。私は点滴棒に“小太郎”と名前をつけ、小太郎をカラカラ連れて病棟を歩き回っていました。夜になると看護師さんたちをつかまえては、「ここでこんな話、していいのかな……」と怪談話を始めてね。するとまた看護師さんたちも、私が通るのを楽しみにしてくれるようになりました。

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