独白 愉快な“病人”たち

タレント 稲川淳二さん (66) 前立腺がん ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 前立腺がんは、がんそのものより出血が多いのが問題。この年で出血したら、そう簡単に体力が戻らない。開腹手術なら術前に自分の血をストックしておいて、手術中に輸血するのですが、その必要もなく、とにかく体に負担が少ない手術でした。

 術後目が覚めると、無意識に起き上がれている自分に驚きました。手術したばかりなのに、腹筋を使って普通に起きられるんですよ。傷口を見ると、ホクロを取ったのかと思う程度の小さな穴が6カ所あいただけ。もう傷口がふさがりかけているように見えました。

 我ながら手術したばかりの人間とは思えませんでした。6カ所の手術痕にヘソを加えて北斗七星ができたなんて言いながら笑ってね。

 当時、ダヴィンチは先進医療で自費治療でした。おかげで治療と個室代で200万円以上と大きな出費。幸い、女房が私に医療保険をかけていたのでそれでまかなえました。でもね、女房は私が死んだら自分にたくさん金が入るようにいっぱいかけていたわけですよ。イヤ~、怖い怖い!

 そのダヴィンチが、2カ月後の4月に前立腺がん手術で高額療養費扱いになり、なんと10万円台で済むようになったんです。

 だったら急がないでもう少し待てばよかったな、なんて思いましたね。

(つづく)

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