独白 愉快な“病人”たち

ファッションデザイナー ドン小西さん (63)心臓弁膜症の手術の後、うつに…

(C)日刊ゲンダイ

胸を20センチほど切り、胸骨をグラインダーで真っ二つにして開いて、心臓弁を人工弁に取り換える。その後、半分に割った胸骨を9カ所ワイヤでひねって留める。ワイヤの先はひねって内側に入れてあるんですが、息をしても、寝返りしても、四六時中痛い。

 あまりにも痛いので「こんなに痛いんだったら切らなきゃよかった」ってマネジャーにボヤいていました。南淵先生にも、もう一度胸を開いてワイヤをとってくれ、って言ったくらい。でも、大きな負荷がかかるから、ワイヤで留めていないとすぐ外れると却下されました。結局、一生ワイヤは外せないんですよ。

 でもね、人間の体ってすごいもので、いつも痛いって信号を送り続けて、変化がないと、神経の方も諦めて麻痺するんですよ。今は上から軽く触った程度じゃ感じなくなっています。普通は半年くらいで麻痺するらしいけど、僕は7カ月かかった。一時はこの痛みが一生続くんじゃないかと悲観しましたね。

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