独白 愉快な“病人”たち

ファッションデザイナー ドン小西さん (63)心臓弁膜症の手術の後、うつに…

(C)日刊ゲンダイ

 麻酔は本当に怖い。一度完全に心臓が止まってるんだから。腸の内視鏡検査は10数えたのに、心臓の手術のときは3つ数えたか覚えていないほど、あっという間。それだけ強力ですから術後に麻痺は続くし、体の違和感も相当期間ありました。

 また、麻酔で一度心臓を止めたせいか、性欲が失せた。夜の営みでひどい貧血で死にそうになることもなくなったのに、達観してしまって気持ちが伴わない。難しいもんだね。

実は、今度は喉に初期がんができて、手術する予定なんです。麻酔して500ミリリットルのペットボトルほどの太い管をぶち込んで手術する。しかもそんな太い管を突っ込んだまま麻酔から起こして、意識のある状態で取り外さないといけないんだっていうからね。ま、やるしかない。

 僕の周りには、日野皓正さん(71歳)や加納典明さん(72歳)など、ちょっと先を元気よく走る先輩たちがいるから、彼らを見れば、自分が今どのあたりにいるか、将来どんなことが待ち受けているのか想像がつく。よく、僕よりも若いIT長者が、田舎で何もしないでボーッとしたいなんて言うけどね、楽しいのは1週間だよ。俺は手術してでも、全力で走り続けて何かしら世間に貢献したいね。

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