愉快な“病人”たち

日本ブラインドサッカー協会理事長 釜本美佐子さん (73) 網膜色素変性症 ㊦

(C)日刊ゲンダイ

 全盲になってから注意深くなりましたね。メモが取れないので、記憶力がフル回転。スケジュールも頭で覚えるし、電話するには、音声電話帳で相手の番号を呼び出し、10桁以上の番号を一度暗記してから電話をかけます。買い物はヘルパーさんに手伝ってもらいますが、食材のストックをどこに置いたか覚えなければいけません。包丁やキッチンばさみを置き忘れたら、ケガにつながります。

 ツアコン時代から10日間の旅程、取引先の電話番号など暗記するのが常だから、記憶のキャパには問題ないけれど、思い込みで間違えて周りに迷惑かけないようにしています。

 それから、お化粧して頬紅が濃くなりすぎたりして、とんちんかんなこともありますね。

 網膜色素変性症って、遺伝子異常に起因するといわれています。うちは両親がいとこ婚なので伴性遺伝の可能性が高い。でも、単に遺伝子の歯車がちょっとずれただけ。サッカーに秀でた弟(釜本邦茂氏)もいることだし、私が異常遺伝子の初代だと思っているんです。くよくよするより、私は病気を受け入れて、もっと積極的に生きるにはどうしたらいいかということに考えをシフトしています。

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