独白 愉快な“病人”たち

日本ブラインドサッカー協会理事長 釜本美佐子さん (73) 網膜色素変性症 ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 それから3年後、これまでにない目の痛みに襲われました。その日は金曜で、近くの総合病院に問い合わせたらけんもほろろ。眼科の救急なんて相手にされません。でも、この目の痛みは尋常じゃない! つてをたどり、所沢の国立リハビリテーションセンターを受診。病院に着いたのは夕方の4時ぐらい。「眼圧が59にまで上がっています!」と言われて、意味も分からず眼圧を下げる点滴を受けました。

 眼圧は通常10~20の間ですから、59というのは相当高い。狭隅角緑内障という急性の緑内障でした。目の表面を覆う房水が出る腺が詰まる病気で、持病とは別もの。誰もがなりうる加齢性の緑内障でした。

 点滴で眼圧は59から通常値の20まで下がり、ただちに手術。レーザーメスで房水が出る腺を切ります。手術自体は10分ほどですが、3~4時間も放置したら、下手すると失明するほど緊急度の高いものでした。週明けまで待っていたら完全にアウト。50代で全盲になるところでした。

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