独白 愉快な“病人”たち

講談師 一龍斎 貞水さん (74) ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 膀胱の手術は、尿道から内視鏡を入れて、もう1カ所くらい穴を開けて、ピンポン玉ぐらいのがんを取ったよ。松田優作さんも同じ膀胱がんでしょ? 彼の場合は転移していたから若くして逝ったけれど、俺の場合は悪運が強くてね。根が張ってないがんだった。これだけ大きいのに根が張ってないのは珍しいって言われましたよ。

 手術よりも、あとの治療が痛かった。尿道から薬を入れると、何かの拍子にチリチリチリッととんでもない痛みに襲われる。講談師は釈台(机)があったのが幸い、涼しい顔して講談をやりながら、下半身は七転八倒でしたよ。

 膀胱がんから5年経ち、もう大丈夫か、確認に全身PET検査をしたら今度は肺がんが見つかった。毎月採血してるのに、血液だけじゃ分からないもんですね。

 私の仕事を考えて、医者はあまり切らずに済む方法を提案してくれました。

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