家計簿を見れば病気がわかる

米中心の食事は寿命を延ばす?

(C)日刊ゲンダイ

 炭水化物ダイエットが人気です。炭水化物とは、穀物に含まれるでんぷんなどのこと。その炭水化物をできるだけ食べないようにするダイエットで、“炭水化物こそ肥満の原因”とする学説に基づいています。

 いまだ賛否が分かれていますが、テレビCMで有名なフィットネスクラブで取り入れていることもあって、若い女性やメタボ気味の中年サラリーマンを中心に注目されています。

 一方、厚労省などは、“ごはんを中心とした和食こそ日本人の長寿の源、世界に誇れる健康食”だとして、米中心の食事を推奨しています。

 果たしてどちらの主張が正しいのでしょうか。単純にいえば、日本人の寿命は、米の消費量が減るのに合わせて延びてきました。農水省の統計によると、国民1人当たりの米消費量(年間)は、昭和40年(1965年)において111.7キロ。

 それが年々減少し続けて、昨年はついに半分(55.2キロ)に落ちてしまいました。米だけでなく、小麦なども加えた穀物の合計でも、145.0キロから89.6キロと約6割に減りました。

 一方、平均寿命は昭和40年に男性67.7歳、女性72.9歳だったのが、昨年は男性80.8歳、女性86.8歳と、大幅に延びています。

 従って、この数字だけを見れば、炭水化物を食べないほうが寿命が延びるといえそうです。

 とはいえ、この間に高齢化が進んだため、話はそれほど単純ではありません。昭和40年の日本人の平均年齢は約25歳、昨年は約46歳。若者と中年では、食べる量が違うのは当たり前です。それを考えると、炭水化物の総摂取量は、それほど大きく変わっていないのかもしれません。

 ちなみに、家計調査で米を多く買っている県、少ない県を表に示しました。これを見ると米をたくさん食べることと寿命の関係はハッキリしていないといえます。トップは静岡の94・5キロ(1日約260グラム)。米1合は約150グラムなので、1日当たり1.7合ほど消費している計算になります。

 最下位は岡山で、わずか53.2キロ(1日約146グラム、約1合)に過ぎません。米は主食という常識を覆しそうな数字です。その分、パンを大量に買っています(年間58キロ、全国3位)。

 また、ブービーの東京は、外食費で全国1位(約23万8000円)となっています。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。