Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【アンジェリーナ・ジョリーさんのケース】乳房切除を決意させた遺伝性は…

アンジェリーナ・ジョリー、ブラット・ピット夫妻(C)日刊ゲンダイ

 乳がん患者急増の背景には、初潮の低年齢化と閉経の遅れ、少子化・晩婚化があります。乳がんは女性ホルモンが密接に影響していて、女性ホルモンにさらされている期間が長いほど発症しやすい。妊娠期間中はホルモン環境が変わって、女性ホルモンの刺激が減るため、少子化によって乳がんが増加するのです。

 女性ホルモンは、コレステロールから合成されることから、肥満も乳がんを助長。高カロリーな食の欧米化も、リスクを高めるといえます。

 2年に一度のマンモグラフィー検査が早期発見のカギですが、乳がん患者の56%が自己発見というデータもあります。セルフチェックももちろんですが、セックスのときにパートナーが気づくことも少なくありません。ぜひ、男性も乳がんに目を向けてください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。