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診療予約困難のNYで脚光 「ドクター往診アプリ」って何だ?

「Medicast」の
「Medicast」のホームページ

「ドクター往診アプリ」が今、注目されています。昨年、ニューヨークに誕生したアプリ「ページャー(pager)」は、リクエストしたドクターが家まで往診してくれるサービス。朝8時から夜10時まで1週間毎日利用でき、“2時間以内に来てくれる”というのが売り文句です。

 診察して処方箋を出してくれる上に、往診から24時間後にショートメールで症状や体調を聞いてくれます。往診料は1回目40ドル(約4800円)、2回目以降200ドル(約2万4000円)。保険の適用が可能です。

「メディキャスト(Medicast)」というアプリは西海岸の都市を中心に展開中で、ドクターズ・オン・デマンド(Doctors On Demand)というビデオチャットで診察を受けられるサービスが人気です。

 往診は1930年代には診察の4割を占めていましたが、2011年は1%になっていました。それがアプリで再び脚光を浴びている最大の理由は、診療所や病院での異常に長い待ち時間にあります。

 アメリカでは、いわゆる「かかりつけ医」でも予約が普通で、診察してもらえるのは平均3週間後。ですから、風邪をひいた場合などは近くの病院の救急に行くことになります。しかし、今度は重病人が優先の救急治療室ですから、風邪くらいだと3~4時間は待たされるのです。

 結局、医者にかかろうと思ったら、長い待ち時間を覚悟しなければなりません。こうしたシステムの不備の間をついたのが、アプリによる往診なのです。待ち時間はほかのことができるのも好評です。

 オバマケアで保険加入者が激増、患者の数も増えているアメリカで、新たな医療サービスとしてますます注目されそうです。

▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター。横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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