耳鼻科の病気

花粉症治療は11月末がリミット

「来年のことを言えば鬼が笑う」ということわざがあります。“将来のことなど予想できるわけないのだから、あれこれ言ってみても始まらない”という意味ですが、こと花粉症対策については当てはまりません。

 今年の春先に花粉症の症状に悩まされた人は、来年も同じ苦しみを味わいます。予想できる将来のために、いますべき花粉症対策のひとつが「舌下免疫療法」です。

 これはスギ花粉に反応する体質そのものを改善する治療法です。スギ花粉のエキスを毎日舌下に投与して、アレルギー反応をだんだん弱めていくのです。アレルギーは体を守るための免疫が過剰になってしまい、自分自身を攻撃してしまうことで起こります。舌下免疫療法は、この免疫の攻撃力に働きかけて、過剰にならないようにします。 以前から、スギ花粉のエキスを注射する方法はありましたが、毎回病院に通って注射してもらう必要があり、注射も痛いのが難点でした。舌下免疫療法は、薬をもらいに病院に行かなければなりませんが、自宅で行え、痛みもないのが特徴です。1日1回、自宅で舌下に投与し、少なくとも2年間は続ける必要があり、3~5年の治療が推奨されています。

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大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。