しなやかな血管が命を守る

【抹消動脈疾患】 症状が出る前でも簡単な嫌なさで早期診断できる

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(C)日刊ゲンダイ

 末梢動脈疾患(PAD)は、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病や喫煙などが原因で手足の動脈が硬く、細くなり、最後には完全に詰まってしまう恐ろしい病気です。

 下肢の動脈に多く見られ、典型的な自覚症状は間欠性跛行です。歩くと足や腰の痛みや痺れが出て、止まると治まります。脊柱管狭窄症や座骨神経痛でも似たような症状が出るため、そうとは知らずに整形外科にかかる患者さんも少なくありません。重症では、潰瘍ができたり足が腐ってしまうことすらあります。

 今年の欧州心臓病学会では、すべての人にPADの診断が必要かどうかの議論がありましたが、生活習慣病など虚血性心臓病のリスクのある人では積極的にすべきとの見方が一般的でした。

 こうした症状が出るときは血管の詰まりが進行していることが多いのですが、症状が出る前でも、比較的簡単な検査でPADは診断できます。気になる人は覚えておいてください。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。