独白 愉快な“病人”たち

落語家 林家こん平さん (71) 多発性硬化症 ㊦

(C)日刊ゲンダイ

 倒れてから病名が分からなかった半年間、巷では重病説が流れていたそうです。この多発性硬化症は、まあ重病ですね。神経の間が阻害されて、筋肉が硬直したり、体がしびれたりで、視界が狭まる。原因不明で、明確な治療方法がない。

 私の場合、右手のしびれと声が出ないことが大きかった。今でも声はあまり出ませんし、ハッキリ発音できないところもあり、次女にフォローしてもらいつつ会話をしています。座っているのもちょっと難しいので、背中にクッションを入れて姿勢を正して取材を受けているんですよ。落語界一“元気”が売りでしたから、思ってもみませんでしたよ。

 治療はリハビリだけなので、何でもやりました。病院から指導されたリハビリ以外に、健康器具や頭の体操など、いいと聞けば何でもチャレンジしましたね。

 でも、やっぱり一番のリハビリは大好きな「仕事」と「卓球」。入院中も不思議なもので、「こん平師匠!」って言われると、シャキッと元気な「こん平ちゃん」になるんです。看護師さんにもお医者さんにも、つい芸人として接しちゃう。かえって本名の「笠井さん」で呼ばれると、聞き逃してしまいます。

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