すると、高座を降りるなり、崩れ落ちるようにうずくまってしまい、動けなくなってね。現場で番組のプロデューサーさんに救急車を呼ぶかと聞かれて制止したものの、弟子が慌ててマネジャーをしている次女に電話をした。
娘はさっき元気に「チャラ~ン!」とテレビに出ていたのを見ていただけに、まさか私が動けないほど具合が悪いなんて想像がつかない。「低血糖なんだろうから、アメちゃんでも食べさせておいて!」と電話を切られそうになったそうです。結局、タクシーで自宅近くの総合病院に緊急入院しました。
ところが、病院で採血しようにも、注射針が入らないほど腕が硬直していたんです。右手がしびれ、声は出ないし、動けない。1週間後にさらに専門性の高い東京女子医大に転院したんですが、それでも病名がわかりませんでした。
咄家として、しゃべることができないのが何より不自由で。いつ治るのかわからないし、このまま死ぬんじゃないかと思いましたよ。
独白 愉快な“病人”たち