独白 愉快な“病人”たち

落語家 林家こん平さん (71) 多発性硬化症 ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 都合1年弱入院しましたが、いやぁー、10カ月が10年に感じるほど、長かった。病院食はおいしくないしね。

 ご飯に手を付けず、帽子にマスクで変装して、売店に行きアンパン買って食べていました。でも、「〈らくご卓球クラブ〉って背中に大きく書いてあるジャンパー着てるんだもの。林家こん平だってバレバレだったわよ!」と娘に笑われてね。

 でも、今だから笑って話せるんであって、病気と縁なく過ごしてきた私にはこの上ない苦痛! みんながわざと私を家に帰してくれないと被害妄想を抱いていたぐらい、入院生活はつらいものだったんです。(次回につづく)

▽はやしや・こんぺい 1943年新潟県生まれ。中学卒業と同時に初代林家三平に師事。20歳の若さで二つ目、29歳で真打ちに昇進。66年から「笑点」に出演。10年に多発性硬化症の闘病をつづった「チャランポラン闘病記」(講談社)を上梓。現在は高座復帰に向けてリハビリに努める傍ら、次女と共にイベント出演などを行っている。

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