独白 愉快な“病人”たち

コラムニスト 神足裕司さん (56) くも膜下出血 ㊦

(C)日刊ゲンダイ

 体が動かないというのがどんな感じかというと、夢の中で一生懸命叫んでいるのに、近くにいる人にも声が届かないという感じです。昔、歩いていたのだから、歩く感覚は分かっているはず。でも、歩こうと思っても、歩くという指令が脚に届かない。

 食べようと思って左手を口に持っていこうと考えると、手が動かなくなる。話そうと思うと、話せなくなる。脳の指令が体の末端にうまく届かなくなってしまっているんです。

 2012年9月1日、くも膜下出血を起こして約1年後、ようやく自宅に戻れました。僕の要介護度は最も重い5。左半身にマヒがあり、歩くこと、寝返り、話すこと、自分で食事を取ることなど、すべてできません。

 介護をする家族の負担が大きすぎるので、療養型の施設に入れた方がよいのでは、というアドバイスをさまざまな方から受けたようですが、家族は自宅で一緒に過ごすことを選んでくれました。

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