独白 愉快な“病人”たち

元サッカー選手・元Jリーグ専務理事 木之本興三さん (65) グッドパスチャー症候群 ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 僕の人生は、自分で生きてきた時代、機械で生かされた時代、そして車椅子の時代と、3つの時代に分かれているんです。

 今は、歩くこともできず、ひとりでは何もできない。病気を抱えて生きていくことの精神的ダメージは大きいですよ。治らないわけですから。

 僕は、義務教育の9年間は無欠席。千葉高校、東京教育大学(現・筑波大学)、古河電工でサッカーをやっていた。体には非常に自信があったんです。ところが26歳の春、体育館でサッカーの練習をしていた時に痰を吐いたら、血で真っ赤。これはおかしいと千葉大学医学部で検査を受けると、肺のレントゲン写真は真っ白でした。

 肺に菌が入ったんだろうということで、抗生物質を処方されました。それで、肺はきれいになったんです。医師は「体育館のホコリが悪かったのかもしれない」などと言いました。

 ところが今度は尿が真っ赤。腎臓を調べると数値が異常に悪い。それでもなかなか原因が分からず、1カ月ほど検査を繰り返した結果、「グッドパスチャー症候群」と診断されました。

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