独白 愉快な“病人”たち

元サッカー選手・元Jリーグ専務理事 木之本興三さん (65) グッドパスチャー症候群 ㊤

(C)日刊ゲンダイ

 人工透析は月、水、土の週3回、1回5時間かかる。人工透析が行われるようになって5~6年目くらいの頃で、技術水準が低く、血中の老廃物をこす透析膜が手巻きのコイルでした。手巻きがうまくいかず、透析中に血圧がゼロになって意識を失うことが、1カ月に1回はありました。何度、さんずの川を渡りかけたことか……。

 仕事は手術の翌年、古河電工健康保険組合の職員として復帰しました。最初は、透析のない火・木・金の午前10時から午後3時まで。僕はサッカーが認められて古河電工に入ったのだけど、病気でボールを蹴ることはできなくなってしまった。でも、ありがたい会社で、幹部が「しばらくは(本格的復帰を)待ってやれ」と言ってくれたんじゃないかと思っています。

 実は、僕の母親が占い師に「(息子は)5年で死ぬ」と言われたらしいんですよ。僕自身、そういう人生かなと思って、人知れず庭先で泣いたりしていました。でもね、高校、大学、古河電工と一緒にボールを蹴った仲間が心配してくれて、物心両面で助けてくれた。今から思うと、サッカーの仲間や家族に、本当に救われたんです。

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