独白 愉快な“病人”たち

元大関琴風・尾車部屋親方 尾車浩一さん (56) 頚髄損傷

(C)日刊ゲンダイ

 さらに、傍目を気にせずリハビリしている10代の若者を見て、自分は愚かだと気づいたんです。これが意識改革になり、事故から7カ月後の11月場所には、車椅子で巡業に行けるまで回復しました。

 でも、事故は悪いことばかりじゃない。食欲が減り、酒も飲まなくなったので、10年来の糖尿病がよくなりました。降圧薬も飲んでいたのに、今じゃ低血圧気味で肝機能も問題ナシ。115キロだった体重が今は87キロ。小4の頃と同じです。現役時代の170キロからは想像できないね。

 朝はトースト半分と目玉焼きで十分。服がユニクロで買えるって女房に喜ばれたよ。

 事故後10カ月目には、車椅子を捨てて杖に替えられた。書き物は難しいからスマホが手帳代わりだけど、LINEも使いこなしてます。人前では歯を食いしばってでも見えを張る。それがいい緊張になって、回復を助けてくれていますよ。

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