独白 愉快な“病人”たち

作家 荻野アンナさん (57) 大腸がん ㊦

(C)日刊ゲンダイ

 子供の頃から馴染みもあるし、たいした検査でもないと思っていただけに、意外な盲点でした。実は5月に血便が出る前、3月と4月にも便に血のようなものが混じっていたことがあったんです。

 サインが出ていたのに、過労と座り仕事で痔かなんかだろうと見過ごしていました。もしかしたら検便で早期発見できたかもしれません。

 去年の4月には大学に戻り、“徐々に復調”なんて思っていたら、昨年の秋に今度はうつの症状が戻ってきて、無気力に襲われるようになりました。うつよ、おまえは戻らなくてもいいのに……。

 壁に張ってある「飲む、ウツ、買う」の“ウツ”はうつ病のうつ、“買う”は買い物好きの買うなんですけどね。抗うつ剤を飲みながら仕事をこなす以前のような日々に戻っちゃいました。

 でも、こんなうつの私でも、エロ連載を書いているとなんだか明るくなる。エロは副作用なく免疫力を上げてくれるいい薬ですね。

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