独白 愉快な“病人”たち

お笑い芸人 ハウス加賀谷さん (39) 統合失調症 後編

(C)日刊ゲンダイ

 在庫がほかの店舗にあると聞けば1時間かけてその店舗まで行く。僕の居場所はお笑いしかない、絶対に戻ろうと思い、とにかく本を読むことで外界とのつながりを保とうとしていたんです。次第に本のこと以外でも外出できるようになり、アルバイトをするなど、“普通の生活”に戻していきました。そして1999年に閉鎖病棟に入院してから10年たった2009年、ようやくコンビを再結成でき、今年で4年になります。

 でも、最初の頃は1カ月かかっても、たった5個のネタしか覚えられず大変でした。薬の副作用には、記憶力の低下と感情の欠落もあるんです。そのため、何を話していたか途中でわからなくなる。感情が平坦で昔のような激しいリアクションができない。昔の僕を求めているお客さんのことを思うと、焦るばかり。

 振り返ると、周囲の期待を読みすぎる性格が病気の一因でもありました。子供の頃は、本当はテレビを見たいのに言い出せない、友達と遊びたいのに塾へ行く、親の期待を読んで行動する子でした。周囲の期待を抱え込みすぎたことが、精神に負担をかけていたんです。

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