少し目先を変えて、今回はマヨネーズの話をしましょう。
マヨネーズをこよなく愛する人を「マヨラー」と呼びますが、テレビに出てくるマヨラータレントの多くが、かなりいい体格をしています。何しろマヨネーズの75%(100グラムのうち75グラム)は油脂。それを卵の黄身でどうにか固めて、味付けに塩と酢を加えただけのもの。シンプルなだけにおいしいのは確かですが、大量に食べれば太るのは当たり前です。
そんなマヨネーズをこよなく愛する県が鳥取です。総務省の家計調査では2010年からマヨネーズが独立した調査項目になりました。それ以降、14年までの5年間で、1位に3回輝いています。しかも2位と3位が1回ずつ。ベスト3から滑り落ちたことは一度もありません。
鳥取は14年の数字で、1世帯当たり年間4キロ近いマヨネーズを買っています。カロリーに直すと、何と2万8000キロカロリー。成人1人の2週間分に近いカロリーに相当します。
しかし、なぜ鳥取県民がそれほどマヨネーズを愛するのか、理由は分かりません。キユーピーや味の素の工場もありません。あるいは、山陰の気候がそうさせるのでしょうか。
というのも、お隣の島根も、毎年上位に食い込んでいるからです(14年は6位)。
そんな鳥取を追っているのが、東北勢の青森と山形。青森は12年こそ19位と振るいませんでしたが、それ以外は必ずベスト5に入っています。また、山形も13年に順位を大きく落としたものの、翌年には3位に躍進しました。
ただし同じ東北でも、残りの県は下位に甘んじているので、“東北人だからマヨネーズ好き”というわけではなさそうです。
これら上位3県に迫っているのが福岡です。10年の成績は29位で、むしろマヨネーズを食べない県だったのですが、翌年から快進撃が始まり、12年と14年に“第4位入賞”を果たしています。
福岡だけでなく、九州は全体的に順位が高く、マヨネーズ好きが多い地域といえそうです。
ちなみに鳥取は、メタボの肥満率が最も低い県のひとつです。青森や山形の肥満率も全国並み。マヨネーズ好きだからといって、必ずしも太るわけではなさそうです。
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。