介護の現場

3度の食事準備、トイレ掃除を続ける毎日

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今年春、東京・新宿区内の日本料理店に勤務していた古川荘一さん(仮名、52歳)が退職した。店からクビを切られたとか、体調を崩したわけではない。惜しまれながら、20年近く勤めていた店を去った。理由は父親(79歳)の介護のためである。

 勤め先まで電車で約40分。立川市に住む古川さんは母が亡くなって以来、父親、妻と子ども2人の5人家族だった。

■離婚で家族“消滅”

 その家族も10年前に“消滅”した。父親の面倒を見ていた妻が離婚を切り出し、2人の子どもを連れて家を出たからだ。一戸建ての家に、古川さんと父親の2人だけの生活となった。

 もともと中小企業のサラリーマンだった父親は、途中で何度も転職を繰り返し、70歳直前に脳梗塞で倒れた。

 食事、排便等、日常生活は人に頼ることなく何とか自立できていたが、老いとともに体力が次第に弱体化。みるみる年老いていった。

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