介護の現場

3度の食事準備、トイレ掃除を続ける毎日

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「朝、勤めに出る時、父親をひとり家に置くのはやっぱり不安でしてね。帰宅すると、寒いのに風呂から上がったままの裸状態で、テレビをつけたまま居間に寝込んでいるわけです。こんな父の姿を何度も見ると、悲しくなりましてね、思い切って退職しました」(古川さん)

 しかし、いざ父親の介護を始めると、これが予想外にきつい。やがて老人ホーム関係の資料を集め、友人たちの話も聞くようになった。

 古川さんの月収は手取り30万円ほどで、住宅ローンの支払いがあと8年ほど残されていた。

 父親の収入は厚生年金と国民年金を合わせて月に約20万円である。父親を有料老人ホームに入居させるには家計的に無理。サービス付き高齢者向け住宅も、重度の介護状態になったら住み続けられないというデメリットがある。そこで月々、基本料金が9万~15万円という特養老人ホームを選択することにした。

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