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ビタミンDはアトピーに効く?

ビタミンDはアトピーに効く?
ビタミンDはアトピーに効く?(C)日刊ゲンダイ

 アトピー性皮膚炎は、空気が乾燥して皮膚も乾きやすい冬季に症状が悪化しがちです。

 冬季に悪化した経験のある2~17歳のアトピー性皮膚炎の患者さん107人(平均9歳)を対象に、「ビタミンDのサプリメントの有効性」を検討した研究が、米国アレルギー・喘息・免疫学会の専門誌(2014年10月号)に掲載されました。

 通常のスキンケアに加えて、ビタミンDを含むドロップを服用してもらう58人と、薬剤成分が含まれていないプラセボドロップを服用してもらう49人の2群をランダムに振り分け、1カ月後の皮膚炎重症度を比較しています。

 重症度はEASIスコアで評価しました。0~72点で、点数が高いほど重症です。

 その結果、EASIスコアはビタミンDを投与された群で6・5点、プラセボ群では3.3点減少。その平均差は3.2点と、統計的にも有意な改善を示唆しました。

 ビタミンDは日光を浴びることにより、皮膚の中で合成されることが知られています。しかし、冬季は日照時間が短い上、寒さから外出する機会も減り、ビタミンDが不足がちになる人がいるかもしれません。そのような人には、ビタミンDの摂取で症状改善が見込める可能性があります。

 ただし、この研究は平均9歳の未成年を対象にしたものであり、成人での効果を検討したものではありません。

 また、ビタミンDを過剰に摂取すると、高カルシウム血症などの有害事象が起こることが報告されています。市販のサプリメントを服用する場合は、用量用法をしっかり守ることが大切です。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。