天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

血管が老化するとどうなるか説明しましょう

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ


 健診で、実年齢よりも動脈硬化が進んでいると指摘されました。そのまま放置しておくのは、やはり問題でしょうか。(44歳・男性)


「血管年齢」という言葉があります。血管の老化度を表すもので、別の言い方をすれば「動脈硬化がどこまで進んでいるか」ということです。

 動脈は体中に酸素や栄養素を運ぶ血管で、その壁は内側から内膜、中膜、外膜の3層からなり、表面は内皮細胞で覆われています。本来、内皮細胞の表面は滑らかで、血液がスムーズに流れるようになっています。

 しかし、加齢とともに血管は徐々に硬くなって老化していきます。健康な人でも、血圧、血糖、コレステロールなどによって、血管が少しずつ傷つけられるからです。

 ただし、同じ年齢でもその人の生活習慣や持病によって進行の度合いはさまざまで、最近は20代でも動脈硬化が進んでいる人が増えているといわれています。心臓の手術をしていても、血管を見た時に、年齢よりも血管の老化が早い=動脈硬化が進んでいるかどうかハッキリわかります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。