天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

血管が老化するとどうなるか説明しましょう

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 血管年齢を若く保つ=動脈硬化を予防するには、「高血圧」と「高脂血症」をしっかりコントロールすることが必要です。最近は、コレステロール値が高くても気にせず放っておいて構わないといった声も聞かれますが、これは大きな間違いです。しっかり制御しておかないと、将来的にさまざまな問題を引き起こします。

 それまで何も病気がない高齢者が、たまたまコレステロール値を測ってみたら高かったというケースであれば、それほど問題はありません。しかし、働き盛りの年代の人が高コレステロールを放置すると、いずれ大きなトラブルを引き起こすのは、さまざまな研究からも明らかです。

 平均寿命が75歳程度の時代や地域の人なら、それでも大きな問題はないかもしれません。しかし、高齢化が進んでいる今の日本は、そこから先を見なければいけません。LDLコレステロールがトラブルを引き起こすのは、まさに後期高齢者に差しかかるタイミングなのです。

 血管年齢を維持する=動脈硬化を食い止めるための決定的な方法は、まだ明らかになってはいません。地道でも、効果があると認められている食生活の改善、禁煙、ストレス解消、運動、減量などに取り組んでください。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。