開腹手術経験者は要注意 「腹壁瘢痕ヘルニア」を医師が解説

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ふくらみが大きい場合、患者が「食事で満腹感が得られない」「排便がしにくい」といった不調を訴えることもある。

 原因は、手術の傷口の感染、肥満や慢性呼吸器疾患による腹圧の上昇、喫煙などによる手術の傷口の治癒の障害など。開腹手術を受けた人の10~20%で発症するといわれ、年間罹患者数は5万人程度という調査報告もある。結構な数だが、実情を知らない人が大半だ。

「良性疾患なので、“手術後に起こる可能性がある”と医師が伝えていても、患者さんの記憶に残っていないのではないか。きちんと伝えていないケースも少なくない」(刈谷豊田総合病院・早川哲史副院長)

 厄介なのは、手術後すぐに起こるとは限らないことだ。数年後や高齢になってから起こるケースもある。

「症状が悪化することはあっても、自然治癒はない。治すには手術しかありません」(国立病院機構別府医療センター・川中博文臨床研究部長)

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