開腹手術経験者は要注意 「腹壁瘢痕ヘルニア」を医師が解説

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 開腹手術か腹腔鏡下手術になるが、手術の傷口の感染がほとんどない腹腔鏡下手術に注目が集まっている。では、どういう時に手術が必要か。それが、冒頭の④だ。

「ヘルニアが元に戻らず腸の血流が悪くなる嵌頓や、腸閉塞が疑われたら、命にかかわる場合もあるのですぐに手術です。強い痛みがあります。また、痛みがなくても、不快感があったり、だんだん大きくなる、見た目が悪いなどの症状で困っている場合も手術を検討します」(川中部長)

 手術は、疾患の内容に個人差が大きく、しかも先の手術で腸が腹壁と癒着していることもあり、難易度が高い。良性疾患なのに手術で新たな症状が生じ、手術前より生活の質が下がっては意味がないため、症状がひどくなければ様子見となることもある。

「私は、患者さんにはまず肥満解消をしてもらい、その後に手術を再検討します。肥満の人は腹部に圧がかかり、腹壁瘢痕ヘルニアを起こしやすい。かつ、大きくなった腹壁瘢痕ヘルニアを手術で体内に戻そうとしても、脂肪が多いと、そのスペースが十分にないからです」(早川副院長)

3 / 4 ページ

関連記事