薬に頼らないこころの健康法Q&A

カウンセリングはなぜ話を聴くだけなのか?

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ


 31歳の女性です。証券会社勤務です。納期に追われる生活と職場の人間関係に疲れ、昨年からメンタルクリニックに通っていました。しかし、精神科の先生は、診察のたびに薬を増やしたり、変えたりするだけ。失望して通院をやめ、「カウンセリング・オフィス」に切り替えました。臨床心理士の先生は、時間をとって聴いてくれました。でも、ひたすら話を聴くだけ。具体的なアドバイスはありません。私が「つらい」と言えば、「ほお、つらいのですね」というように相づちを打ち、オウムのように返してきます。時折なさる質問といえば、「そのとき、あなたはどうお思いになったのですか?」というようなものばかり。「『どう思った』っていったって、『困ってしまった』に決まっているでしょう」と内心思いましたが、さすがに口に出して言えませんでした。薬だけの精神科医にも失望しましたが、聴くだけの心理士にも失望しました。心理士は、なぜこうも「聴くだけ」なのでしょうか。

1 / 3 ページ

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。