肺がん治療に前進もたらす「遺伝子異常退治」って何だ?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 RET融合遺伝子を有する肺がんには、「バンデタニブ」という分子標的薬が効果を発揮することが基礎研究で確認されている。「バンデタニブ」は、過去に米国を中心に非小細胞肺がんを対象とした第3相試験(治験の3つの段階のうち、最終段階)が行われたが、遺伝子異常がある患者に対象を限った試験ではなかったため有効性が認められず、製薬会社が承認申請を取り下げた経緯がある薬だ。

 つまり、バンデタニブの有効性を証明するには、RET融合遺伝子を有する肺がん患者に限定した臨床試験が不可欠なのだ。

「有効性が高いと予測される薬があるのならば、患者へ治療薬を早く届けるために、その有効性を臨床試験で証明する必要があります。分子標的薬は対象が正しく限定できれば、非常に高い治療効果を発揮します。そういう思いから、全国の病院から遺伝子異常を有する患者をスクリーニングして、日本における治療薬の開発を推進するために、遺伝子スクリーニング組織をスタートさせたのです」

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