ぽっこりお腹が引き締まる「ねじり運動」と「スクワット」

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ズボンのベルトがめり込むポッコリお腹をなんとかしたい――。そう考えている中高年は多いだろうが、一度だぶついたお腹を引き締めるのは容易ではない。そこでプロレスのリングドクターでもある「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長に、お腹をへこませるコツを聞いた。

■まずは基礎代謝を上げるところから

「多くの方はお腹をへこませるために、あおむけの状態での腹筋運動を考えがちです。しかし、お腹のたるみは腹筋だけ鍛えてもダメ。太ももの裏など、お腹を支えるための筋肉全体のたるみを引き締めなければなりません。実際、40歳を過ぎれば年に1%筋肉が減っていく。体全体の筋肉をつけて基礎代謝を上げ、自然に脂肪燃焼する体をつくることが大切です」

 加齢でお腹がせり出してくるのは、筋肉が減って内臓を支えられなくなるから。老化で腸の動きが悪くなりガスや便がたまる、内臓脂肪や皮下脂肪がたまるなども原因となる。

「腸の動きをよくするには、体をねじる運動を心がけることです。あおむけに寝て両膝を立てた状態で足を左右に振る、立ったまま、体を左右にねじるなどもよいでしょう。腸の蠕動運動を助ける腸腰筋をほぐすエクササイズも効果的です。手を後ろで組んで両足を肩幅に開き、片方の足を前に出して膝を折り曲げる。暇をみつけて繰りかえすことです」

 内臓脂肪は、ご飯などの炭水化物を抜けば簡単に減らすことができる。問題は全体的に弱体化した筋肉をどう鍛えるかだ。

「筋肉が弱体化する原因のひとつは、筋肉の繊維の間に“筋細胞外脂肪”と呼ばれる、特殊な脂肪がつくからです。牛肉の霜降りと同じで、筋肉のハリをなくし、皮膚や皮下脂肪を支えられなくする原因です」

 これを解消するには歩き方を工夫することだ。

「年を取ると歩幅が急速に狭くなります。20代の頃と体形が変わった人は、変わらなかった人と比べて7センチほど歩幅が狭くなるとの研究もあります。意識して歩幅を広げて筋肉を大きく伸び縮みさせましょう。筋細胞外脂肪を解消するとともに、筋肉を成長させることにつながります」

■ゆっくりお尻を下すスクワット

 運動する時間も場所もない中高年にとって、筋肉をつけるのにとくに有効なのはスクワットだ。

「両足は肩幅程度、つま先はやや外向きにして立ち、ゆっくりとお尻を下ろしていきましょう。できれば、太ももが床と平行になるくらいまで下ろします。このとき、ひざがつま先より前に出ないようにして、できるだけお尻を後ろに引く。ゆっくり立ち上がり、少し曲げた状態で止めます」

 他にも、両手を横に置いてあおむけに寝て、ひざを立てる。かかとはなるべくお尻に近づける。ゆっくりと体がまっすぐになる高さまでお尻を持ち上げる。その後、お尻が床につく直前まで下ろすが、床にお尻をつけない。これらの運動を10回程度繰りかえす。

「その後は散歩などの有酸素運動ができるとベスト。筋トレで糖分を消費した後に、有酸素運動で脂肪を燃焼できます。食事は鶏肉などの良質なタンパク質を取りましょう。便秘解消にと野菜ばかり食べていては筋肉がつきません」

 なお、ポッコリお腹の原因が病気のケースもある。朝起きたときの体重を量り、1日2キロ以上の体重差がある、すねやまぶたにむくみが出るなどの場合は要注意。心臓が故障し、体に水分がたまっている可能性もある。病院で診てもらうことだ。

関連記事