インフルエンザワクチンなどの予防注射をすると、打った箇所が赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。これは一種の皮膚のアレルギー反応で、ワクチンには比較的多い副反応です。
誰でも、腕が腫れたり、痛んだりするのは、不快で嫌なものです。それでは、ワクチンのこうした副反応を減らす方法はないのでしょうか?
そのヒントになるのが、2009年の新型インフルエンザ騒動時に、ワクチンの「皮下注射」と、その倍量の「筋肉注射」とを比較したデータです。
皮下注射とは、注射器の針を寝かせて比較的浅く針を入れ、筋肉より皮膚側に近い箇所に薬を注入する注射のことです。筋肉注射は、針の角度を立てて筋肉の中に薬を注入する方法です。
結果、打った箇所が赤くなった比率は、皮下注射の方が筋肉注射に比べて6倍も多かったのです。
“それなら、注射の仕方を変えればいいじゃないか”と思うのですが、欧米ではほとんどのワクチンは筋肉注射で行われているのに対し、日本ではほとんどのワクチンは皮下注射で行われています。私に言わせれば、これが日本の予防注射で打った箇所が赤く腫れやすい主な理由なのです。
なぜ予防注射の方法が日本と海外で違うのでしょうか?
それは以前、日本でお子さんの薬の筋肉注射により、筋短縮症という重篤な合併症が生じて社会問題となったトラウマがあるからです。
しかし、小さなお子さんはともかく、大人のワクチンも皮下注射を強制するのはいささか強引で科学的根拠に欠けます。実際には、たとえばインフルエンザのワクチンであれば、小さいお子さん以外は筋肉注射にした方が、痛みや腫れは少なくて済むのです。
ワクチンの方法は、もっと科学的であるべきではないでしょうか?
医者も知らない医学の新常識